チカン

最近朝早くから地下鉄に乗ることが多い。札幌では数か月前から、始発から数時間だけ、女性安心車両というものが導入された。痴漢防止対策のあれだ。ちょうどこの時間帯に乗らなければならなくて、いちいち車両を確認しないといけないのが苦だ。

ところで、世の中の男子諸君は痴漢に興味がないのだろうか。俺はある。いや興味と言っても、もちろん自分が体験したいという意味ではなく、その現場に居合わせてみたいということだ。本当に女性が訴えるほど多く発生しているもんなのか。周りの人間の助けはあるのか。俺は興味がある。

とある女友達から痴漢被害の話を聞いたことがある。俺としてはおもしろかったので、ネタにしてみる。
3年くらい前の冬のお話。

「そういえば昨日痴漢にあったさ〜」

唐突にそんな話題をふられても、大して仲が良いわけでもないし困った。まぁ「かわいそう!」とか「最悪だね!」とか同意が欲しいだけなんだろうななんて思って、適当に話に乗る。

「朝、バス停でバス待ってたんだよね」

僻地に住んでいる彼女は毎日バスを使っている。「帰りは男に送ってもらってる」とか要らんモテ自慢入ったけど。

「バス待つところでケータイいじりながらタバコ吸ってたんだよね。誰もいないし」

他の地域はよく知らないが、北海道ではバスを待つ人が寒さをしのぐために、バス停に簡易待合所みたいなのが併設されている場合がある。簡易と言っても、ドアもちゃんと付いてるし完全に密室だ。そんなところで喫煙するなんて、同じ喫煙者からしてもどうかと思うが、彼女の身なりを見れば納得は出来る。

「そしたらいきなり若い兄ちゃんが、こっち睨みながら歩いてきたんだわ」

「え、若い人が?」

「最初は、タバコ吸ってるから怒られるのかなって思ったんだよね」

「痴漢か」

「いきなり入ってきて何をするかと思ったら…」

「痴漢か」

「…かけられたさ」

俺爆笑。いや悪いとは思ったけどw 痴漢っていうから、いきなり下半身露出したとか、襲いかかってきたとかそういうのを予想してたのに、かけられたとかwwww

「笑わないでよ。めっちゃむかついたんだから」

「で、どうしたの?w」

「すぐ逃げられたから何も出来なかったけど。パンストに少し付いたくらいだから、ティッシュで拭いた」

「wwwww」

ティッシュで拭いて、はい終わりって最強すぎるw 俺がきゃわいいロリロリ系女子なら泣いて2日は寝込むだろうに。それともこの女はあれか。カルピスにそんなに抵抗を感じない系女子なのか。

彼女はこういう痴漢というか変態の被害に結構あうらしい。高校生のとき体験した話も聞いた。

「高校はチャリで通ってたんだよね。学校帰り、一人でチャリで走ってたら、横にバイクが一緒に並ぶように走ってきて…かけられたさ」

「またかw」

「腕にめっちゃかけられた」

「wwwww」

「そのころはその液体が何なのかわからなかったんだよね。家に帰って母さんに聞いて…。泣きながら洗った」


こんなに図太いのはこの女だけなのかもしれないけど…、女に生まれなくて良かった。本当に。